サバキスタン

ロシアから届いた、自由の意義を問いかけるアンチ独裁グラフィック・ノベル!

●作品紹介

永らく国境を閉ざしていた謎の独裁国家「サバキスタン」はある日、国境を開放した。偉大なるサバキスタンの栄華を世界に伝えるため、世界各国のジャーナリストたちが招かれた。その日、同国では全国民から敬愛を受ける国父、リーダーである「同志相棒」の葬儀のリハーサルイベントが行われようとしていた。サバキスタンの工場に努める女性・ハーモニーもその名誉あるイベントへの参加を許されたひとり。彼女は喜びと誇らしい気持ちを胸に会場となるスタジアムへと向かった。
同志相棒に招かれた世界的ジャーナリストのアンリ・パスカルもまた、宮殿内で同志相棒から歓待を受けていた。すべてが豪華絢爛で見事に設えられた奇妙な空間の中、アンリ・パスカルはふと戯れに、庭にある一本の木の枝を折ってしまう。その木は若き同志相棒が植樹した神聖なものであり、それを傷つけることは大罪であった…。
架空の独裁国家における不自由や弾圧、陰謀、歴史の改ざん。そして人々の真実を求める心、抵抗、愛する国への願い――。迷える大国・ロシアから届いた、自由の意義を問いかけるアンチ独裁グラフィック・ノベル!

●登場人物

親愛なる我らが同志相棒
自由共和国・サバキスタンの国父。偉大なるリーダー。しかし彼に関する多くは謎に包まれている。
アンリ・パスカル
世界的に著名なジャーナリスト。映画監督でもある。最新作『メドゥヴェージたち~熊と私~』。同志相棒も彼のファンであり、サバキスタンに招かれる。
ハーモニー
偉大なる祖国・サバキスタンの女性。普段は工場で働いている。
最高司令官
偉大なる祖国・サバキスタンの工作員たちを束ねる司令官。親愛なる我らが同志相棒のボディガードでもある。
謎の仔犬
宮殿内にいる謎の仔犬。
タデウス・ヴォルクコウスキー
少数民族・ヴォルク族の少年。成績優秀により特例としてサバキスタンの最高学府に通っている。
ウーフ
サバキスタン共和国の首都・ドゥルジヌイに住む小学生。押しに弱いが心優しい少年。
ハニー・スイート・ラブ
サバキスタン共和国の首都・ドゥルジヌイに住む小学生。好奇心旺盛で活発な少女。

作者プロフィール

ビタリー・テルレツキー(作)

1989年ソ連のレニングラード(現サンクトペテルブルク)生まれ。漫画家。犬が大好きだがアレルギーがある。


カティア(画)

シベリア生まれ。サンクトペテルブルクで建築を学びながら、イラストや漫画を描くようになる。本とコーヒーと語学を学ぶことが好き。もちろん犬も好き。


鈴木佑也(翻訳)

新潟国際情報大学准教授。ロシア・ソ連建築史/美術史、表象文化論。1930~60年代のソ連における大型建築プロジェクトや都市計画、対外建築交流、政治と建築の相関性について研究している。著書『ソヴィエト宮殿 建設計画の誕生から頓挫まで』(水声社)。